1999年春季 TBS 日剧SP 女子大生の中川美樹（ともさかりえ）は東京のある中堅商社の入社面接試験で、試験管の神崎重雄（緒形拳）から極度に屈辱的な思いをさせられた。笑顔を絶やさず、マニュアル通りに面接に臨んだ美樹に向かって神崎は無神経な質問を浴びせかけ、果ては美樹を打ちのめすような言葉まで発したのだ。神崎の部下・井関祐一（中井貴一）は美樹をかばおうとするが、神崎はそれも無視して美樹をことごとく痛めつけた。「面接でなかったら、こんなオヤジなんて」…美樹の忍耐は限界に達していた。 辛うじて平静を装った美樹の怒りは帰宅するなり爆発した。美樹から話を聞いた同棲中の恋人・館林昌也（いしだ壱成）は翌日その商社に出向き、重雄を探し出した。レストランまでついて行き、昌也が延々抗議している最中、酒に酔った重雄が倒れてしまった。昌也は成り行きで重雄をマンションまで送り届けたが、「死ぬ！」と言って包丁を振り回す重雄を置いて帰るわけにもいかない。結局、美樹まで駆けつける騒ぎになった。話を聞けば、この日神崎は会社に辞表を出したのだった。エリート商社マンとしての海外の活躍が日本では評価されなかったのが原因らしい。仕事人間の重雄は妻の信枝（泉ピン子）からも愛想を尽かされ、離婚されていた。 そんな時、父親違いの姉・香織（手塚里美）が美樹を訪ねてきた。そこに、祐一が就職のことで謝罪に訪れ、翌日は仕事や恋愛で傷ついた母親の朝子（倍賞美津子）が四国から上京して来たりと美樹の身辺が急にあわただしくなった。昌也に会いに来た重雄は初対面の朝子と意気投合し、そのままスナックに向かった。しかし、泥酔した重雄は過って朝子に大怪我をさせてしまう。病院に運ばれた朝子のもとに美樹たちがやって来た。意識不明に陥った朝子の周りに集まる重雄、昌也、美樹、香織、祐一。いつしかこの6人はまるでひとつの家族のように寄り添う。東京という大都会でひょんなことから知り合った重雄たちのなかには、奇妙な連帯感が芽生え始めていた。
